人里や繁華な街にも、昔は妖怪が潜んでいました。
今のように街灯が夜中じゅう明るく照らしていたり、24時間営業のお店などがなかった時代には、夕暮れ時や街の影になる部分に得体の知れないものが蠢いていると考えられていました。
多くの街に出る妖怪の特徴としては、日中には姿を見せない奇怪な性質を持つ、人間に近い形だというものがあります。
水木しげる氏のおかげで有名になったヌラリヒョンや江戸時代の漫画コミックス黄表紙に登場する豆腐小僧、海外の妖怪デュラハンに似た輪入道や片車輪、古い道具に人間や動物の手足が生えて練り歩くツクモガミなども変形した人間型の妖怪だと言えるのではないでしょうか。
一昔前に子供たちを恐怖に陥れた怪人赤マントや口裂け女、トイレの花子さんなども人間型の街の妖怪に入ります。
いずれも、子供が夕方には帰ってくるように、また変な人に係わり合いにならないようにと大人が考え出したいましめとしての側面も持っています。
現在、子供たちは塾や習い事で、9時10時まで外に出ていることも少なくないようですが、凶悪な犯罪が横行しているため、こうした妖怪の力を借りてできるだけまっすぐ早く家に帰ってくるよう言いつけておくこともある意味必要になっているのかもしれません。
ほかにも子供だけで気軽に近寄ってはいけないお寺や花街(歓楽街)にも多くの妖怪が伝わっています。
こちらも一見人間のようで、よく見るとなんだかおかしい……という根源的な恐怖を感じさせる妖怪が多いようですね。
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