動物の妖怪の怪談

動物の妖怪の怪談といえばやはり鍋島の猫又や、中国の金華猫が有名すぎてほかの秀逸な怪談も霞んでしまうほどですが、負けず劣らず恐ろしい話は調べて見ればたくさんあります。

鍛冶屋の婆という伝説は、珍しくオオカミが化け物として登場します。

夜の山道で産気づいてしまった女性の血のにおいにつられて、たくさんのオオカミが現れました。
ちょうど近くを通りかかった飛脚が木の上へ押し上げてやり、手を貸しながら高いところまで上って逃げると、オオカミは一匹一匹背中に乗って、どんどん一番上のオオカミが近づいてきます。
あともう少しで届いてしまうというとき、ちょうどオオカミの数が足りなくなり、一安心したところ、下のほうのオオカミが鍛冶屋の婆を呼んで来いと話します。
しばらくしたら、巨大な白い毛のオオカミが鍋をかぶって一番上に登ってきてしまいました。
飛脚は短刀を抜いて切りつけ、どうにか白オオカミを退けると、ちょうど朝になったからか狼たちは散り散りに逃げていきました。
近くの村で休みながら、その村の鍛冶屋を探してお婆さんはいますかと聞くと、怪我をして寝込んでいると答えられます。
そのお婆さんを切り殺して見ると昨夜の白オオカミで、本当のお婆さんは既にオオカミに食べられた後でした。

こうした、はしごのようにオオカミが重なって木の上まで襲ってくるという話は各地にいくつかあるようです。
鍛冶屋の婆もオオカミだったり鬼女だったり、化け猫だというバリエーションもあります。

ほかにも夜道で急に馬の首が下がってくるサガリや、まん丸なネズミが目の前でいきなり破裂するコダマネズミ、人身御供を所望するサルの妖怪ヒヒ、奄美で股下をくぐられると死んだり病気になったりする片耳豚など、恐ろしい妖怪の話はたくさん伝わっています。

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