日本の国土は約7割が山という地形で、古くから山岳信仰(山そのものをあがめる宗教)が盛んでした。
多くの方が山の中で亡くなっていた前時代では、今のように自動車やケーブルカーなど、便利な手段で山頂を目指せる時代ではありませんでした。
そのため、みだりに立ち入ってはいけないといういましめとして生まれた妖怪と、山の中で生活している人々や山岳信仰の修行者を神格化したものが忘れられ、落ちぶれた妖怪がいます。
いましめとしての山の妖怪にはヒダルガミやサトリ、ヤマチチなどがあります。
軽々しく山に入って危険なことをしてはいけませんよ、という注意がキャラクター化したものだと言えます。
山岳信仰から生まれた妖怪の筆頭はテングでしょう。
またキツネやオオカミ、シロヘビ(ハクジャ)なども、以前は神としてあがめられていたものが落ちぶれたと見て良いと思います。
山の妖怪の特徴としては、『見るだけで病気になる(死ぬ)』『こうしたら避けられる・対処できる』『話してみたら意外といいやつ』などがあります。
見るだけで病気になる・死ぬという強烈な妖怪は少ないですが、危険なことをしないためのいましめとして機能している妖怪が多い傾向があります。
対処方法がある妖怪は、いましめの中でも軽度なものや、山に入る前に必ず持っていかなくてはならないものを忘れないように機能しています。
話してみたらいいやつだった妖怪は、平地の人間と相容れない山の民や修行者が主でしょう。
いずれにしても人間が登頂していない山がほぼなくなってしまった現代では見られない妖怪たちですが、山の木々の陰でひっそりと今も息づいているかもしれません。
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