川姫という妖怪は広範囲で言い伝えられていたわりに知名度が余り高くないかもしれません。
場所によっては河女(カワオナゴ)・川女郎などと呼ばれていたこともあります。
いずれもかわいらしい女の子、もしくは美しい女性の姿をしている妖怪で、水車小屋にふらりと現れたり、川辺で糸巻きをしていたりします。
大声を出したり、橋の下から飛び出してきて人を驚かせる悪趣味な妖怪です。
福岡の川姫はひとの精気(日常生活力)を奪ったりするものとされています。
日常の生活力のことを古い言葉でケと呼びますが、このケを枯れさせる=ケガレさせるのが川姫です。
子供が育ちにくかった時代は若い女性が珍しく、川の向こうの隣村の人かもしれない女性と無駄に仲良くすると争いの元になったりしましたから、そういういましめだったのかもしれません。
2008年に公開された妖怪大戦争という映画では、川姫はほとんどカッパの姿をしていて、人間の一番の味方というポジションでした。
キャラクターとしてかなり出世した妖怪ですね。
川男という妖怪は川姫と全く別の性質を持っています。
顔が黒く背が高い外見の物静かな男が二人、物語をぼそぼそしゃべるという地味な感じの妖怪です。
こちらもどこか別の地域からきた人や、山の中に住んでいる顔見知りではない男が、別の方言で何か相談をしているところを目撃したのが妖怪化したものかもしれません。
川姫・川男のどちらも、カッパの一種とされていることがあります。
妖怪として認識され始めた初めがよそから来たひとかもしれないのは同じの場合もありますが、川姫や川男はどちらかというとかなり人に近い姿で語られます。
川姫のような妖怪は海外にも伝わっていて、ルサルカ・ニンフ・ダームブランシュなどの名前で知られています。
世界中の親が考え出した、こどもが勝手に水車小屋や橋などへ近づかないように働いているいましめだと見ることもできますが、興味深いですね。
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