海の妖怪は陰湿で、生きている人をとにかく死なせようとするため、怪談のネタには事欠かないでしょう。
日本では平家の武者の亡霊が甲冑姿で海上に集まっていたり、海外でも幽霊船の目撃談などがありますね。
基本的にかわいげなどが一切ない、本気で人を危なくさせる海の妖怪の取って置きの怪談をご紹介します。
朝の連続ドラマで注目された海女さんの間に伝わる妖怪で、トモカツギ(共潜・トモカヅキ)というのがあります。
通常の漁に出ている海女さんが一人でもぐっていると、近くに見慣れない別の海女さんが現れて、海の中でウニやアワビを手渡してくれます。
優しい人だな、ラッキーだなと思っていると、意味ありげに手招きされます。
その海女さんに近づいていくと、自分と同じ顔をしていることに気づきます。
ニヤニヤと笑いながら手を引いて、どんどん深いほうへ連れて行ってしまい、海女さんといえども息が続かなくなって溺れ死んでしまう、という話です。
このトモカツギの怪談には、興味深いことにドッペルゲンガーが関わっていますね。
ドイツ語でダブル・ゴーストという意味で、自分のドッペルゲンガーを見た人は死ぬと伝えられています。
普段泳ぎがうまいはずの海女さんでも調子に乗れば溺れ死んでしまうこともあるといういましめとしても機能していますが、なんとも不気味な感触の話です。
ほかにも取り殺された人が7人の中の一人と入れ替わる七人ミサキや、出会っただけで死んだり生き血を吸われてしまう濡れ女など、海をなめてはいけないと感じさせる怪談がたくさん伝わっています。
興味がわいたら是非調べてみてはいかがでしょうか。
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